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土田世紀の短編が滅茶苦茶面白い【感想とか】

公開日: : 漫画

東京に行ったとき土田世紀さんの短編を色々買ってきて、最近ようやく読み終えました。
買ったのは『永ちゃん』、『水の中の月』、『月球』、『ノーサンキューノーサンキュー』の4冊、どれも面白かったです。
その面白さは娯楽的な面白いだけじゃなく、自分の心にズドンと突き刺さるような後味を残していくんです。
出てくるキャラクターのほとんどは情けなくてダメダメで泥臭くてひたむきで、ああこれってパンクロックと同じですね。

【土田世紀】『永ちゃん』感想

1989年発売。
表紙とタイトルだけ見ると完全にヤンキーものだけど、実際は「この時代の寅さん」という感じ。
永ちゃんこと昼川永春のしょうもない毎日が1話完結っぽい感じで続いていきます。
絵が急に雑になったり、キャラの区別がつかなくなったり、粗さがあるけど決めるとこはビシッと決めてるので読後は爽やかです。
その衝撃はラストの見開きとたった一言のセリフ。
これを描きたいがためにこの作品を作ったんじゃないかと思うくらいです。
吉田拓郎の「流星」を聴きながら読みたいですね。
主人公のモデルは長渕と矢沢らしいけど。

【土田世紀】『水の中の月』感想

1998年発売。
主人公は作者お得意の貧乏ながらも清く正しく生きる男。
ラストが打ち切りっぽいので「あれ、これで終わり?」と思ったけど、大事なことはしっかりとその前に描いてあります。
どんな目に遭っても、お先真っ暗でも自分の中に一つだけ大切なものがあればそいつはきっと大丈夫。
その姿はさながら夜空に輝く月のようでした。
つまらんプライドや見栄で追い求める理想なんて水面に映る月と同じ、幻なんすよ。

【土田世紀】『月球』感想

2001年発売。
定時制高校の軟式野球部にフォーカスした珍しい題材の作品。

「全てを出して全力を尽くした者にそれは大きな贈り物をくれる」

何度も出てくるこの言葉(作中で「それ」は野球になっています)が印象に残りました。
そして特別触れらてはいないけど、もう一つ異様な存在感を放っていたのは「月」でした。
主人公の心が閉ざされている内は背景には影がかかっている三日月。
そして全力を懸けることを誓って仲間を説得する見開きシーンでは不気味なほど煌々と輝く満月になっている、という演出。

展開は今読むと野球漫画あるあるのネタを見てるようで少し滑稽ですが色あせないメッセージ性があると思います。

【土田世紀】『ノーサンキューノーサンキュー』感想

2005年発売の短編集。
どれも完成度の高い短編になっています。
特に表題作の「ノーサンキューノーサンキュー」は圧巻。
一人娘がいるけどクズな男、孤独と戦う男、二人とも色々と限界を感じているときに見開きを使って織江から「父ちゃん」の一言。
たったそれだけなのに胸が締め付けられるような気持にさせられました。

土田世紀さんがどのように物語を作っていたのかは自分は知りません。
しかし作品を読んでいると、「描きたい物語があってそれを漫画にしている」というより「自分の哲学や考えが先にあってそこに物語をつけていってる」ように感じました。
それはまさに「全てを出して全力を尽くした」作品ですね。

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